炒麺 vs 焼きそば -中国と日本の焼きそばの違い-

アメリカにおいて、麺を炒めて作る料理として真っ先に連想される一品は「炒麺」ではないかと思います。皆さんは中国の「炒麺」と日本の「焼きそば」の違いをご存じですか?まずは「炒麺」について見ていきましょう。

炒麺とは、中国の広東省にルーツを持ちます。「chaomian」と呼ばれていた料理が、ゴールドラッシュの時代に中国系移民の手によってアメリカに持ち込まれ、いつしか「Chow mein(炒麺)」と呼ばれるようになりました。その名前に「stir-fried」を意味する「chow」と「noodles」を意味する「mein」が含まれていることから推測できる通り、炒麺は中華麺を使用して肉や野菜とともに炒めた料理です。大きくは、蒸した中華麺を野菜や肉などの具材とともに炒めたものと、鉄鍋で焼いて(もしくは揚げて)カリッとさせた麺の上に片栗粉でとろみをつけた餡をかけたものに分かれ、味付けは塩味や醤油味のものが多いようです。このような経緯で中国からアメリカに伝わった炒麺はアメリカ国内の中華系レストランでは定番のメニューといえ、おそらく米国内で口にしたことがない人を探す方が難しいほどの知名度を獲得しているのではないでしょうか。もちろん中国本土でも、中国のたまり醤油を使用した上海焼きそばやピリ辛な味わいが特徴の四川焼きそばなど数多くの炒麺が存在し、その人気の高さがうかがえます。

更に特徴的なのは、中国系移民によって炒麺がアメリカ以外にも世界各地に持ち込まれ、そこで様々なバリエーションを生み出した点です。バリエーションの一例としては、インドネシアのミーゴレンやシンガポールのホッケンミー、フィリピンのパンシットカントンなどが挙げられます。

そして今回の記事で紹介する、次に日本の「焼きそば」について見ていきます。実は、日本の「焼きそば」も実は中国の炒麺から派生したバリエーションの一つなのです!焼きそばという名前にも「stir-fried」を意味する「焼き」と「noodles」を意味する「そば」が含まれていることから、炒麺と焼きそばとは何か密接な関係があることがお分かりいただけるのではないでしょうか。ただ、他の国の炒麺バリエーションとは異なり、日本の焼きそばには大きな特徴があります。それは、調味料です。ホッケンミーに使用されるサンバル、ミーゴレンに使用されるケチャップマニス、パンシットカントンに使用されるオイスターソースなどのように、通常使用される調味料が自国もしくはアジア文化圏由来のものであるのに対して、日本の焼きそばは、なぜかイギリス由来のウスターソースを調味料として使用しています。他国の炒麺バリエーションで使用されている調味料を見ると、日本の代表的な調味料である醤油を焼きそばに使用する流れになるのではないかと想像しますが、なぜかそうはならなかったのです。ちょっと不思議ですね。

そんな経緯で日本に誕生した焼きそばですが、日本人にとっては特に屋台料理の定番として非常に人気があります。その人気は過去に日本で行われた「B-1グランプリ」というご当地グルメの祭典において、11回中5回のグランプリを焼きそばが獲得したことからもうかがえます。

アメリカでは日本の焼きそばを提供するレストランがそれほど多くないことから、焼きそばはまだ炒麺ほどの知名度を獲得しているとはいいがたいですが、お好み焼きやたこ焼きにも使用されているその特徴的な甘辛いソース味に魅了される人によって、口コミをベースに徐々に広がっています。最近ではインターネットでインスタントや生麺タイプの焼きそばを手軽に手に入れられる環境も整い、その人気も加速しているようです。

そこで本日は、近年米国でますます注目を集めている日本の焼きそばについて、その発祥から特徴までいろいろと掘り下げてみたいと思います。まだ焼きそばを食べたことのない方にもすでに焼きそばを食べたことのある方にも興味深い情報満載ですので、ぜひお楽しみください!

  • 目次

 

■焼きそばの歴史

冒頭にも述べたとおり、日本の焼きそばのルーツは中国の炒麺にあります。中国から伝わった炒麺は大正時代の頃までには日本に普及していたようですが、現在の焼きそばのようなようなウスターソース味ではなく、中国本土の炒麺と同様に醤油味や塩味で提供されていました。

それでは、日本の焼きそばにウスターソースが投入されたのはいつ頃なのでしょうか?それは1935年(昭和10年)頃だと言われています。料理研究家の小菅桂子によって執筆された「にっぽん洋食物語大全」という本には、その頃の東京浅草のお好み焼き屋さんで提供されていたソース味の焼きそばが「浅草焼きそば」と呼ばれていたという記載があります。おそらくお店で提供されていたお好み焼きに使用されるウスターソースを炒めた麺にも応用してみよう、という発想からソース焼きそばは誕生したのではないかと想像できます。ちなみにイギリス発祥のウスターソースが日本に登場したのは19世紀末頃。20世紀の初頭には全国的に人気を博していたということなので、1935年のタイミングで当時流行最先端の町であった東京の浅草において、ソース焼きそばのような革新的な料理が誕生したのは歴史的必然だったのかもしれません。

こうして誕生した日本独特のソース焼きそばですが、誕生当時は一部の都市部でしか食べることができない料理でした。この料理が全国に普及したのは、第二次世界大戦後だと言われています。闇市で手に入れた小麦粉で作られた麺を用い、安価で手に入ったキャベツで量を増やしたソース焼きそばは屋台で大評判となり、瞬く間に全国に定着しました。ちなみにこのスタイルの焼きそばが誕生したのは秋田県の横手市で、この地は日本三大焼きそばの一つ「横手やきそば」の発祥地として、今なお日本全国から多くの訪問者を集めています。

更に、焼きそばは鉄板一枚あれば調理可能なことや調理手順が簡単なことから、夏祭りや学園祭などの屋台に多く採用されています。そのことから、多くの日本人にとって「焼きそば=イベントなど楽しいときに食べる食事」というイメージが定着しています。あの特徴的なソースの焦げた香りを嗅ぐとなぜか気持ちがウキウキしてしまうのは、日本人なら誰でも身に覚えのある体験なのではないかと思います。
 

■焼きそばの特徴

前章でもお伝えしたとおり、焼きそばは中国から伝わった炒麺がベースになっているにもかかわらず、イギリス由来のウスターソースを調味料に使用している点が大きな特徴として挙げられます。炒めた麺、肉と野菜に注がれたソースの少し焦げた香りが魅力的で、食欲をそそります(そのことはお好み焼きやたこ焼きでも立証済みですね)。具材として肉や野菜は炒麺と同様に使用されますが、焼きそばにおいては肉は豚肉、野菜はキャベツを主体にニンジン・タマネギ・もやし・ピーマンなどが使用されることが多いようです。

その他、焼きそばを特徴づけるトッピングとしては、青のり、削り節、紅ショウガ(とんこつラーメンでも使用されます)が挙げられます。また目玉焼きやマヨネーズを添えることも近年では人気を集めています。

味付けに関しては王道のウスターソース味以外にも、出汁をベースにした「塩焼きそば」や醬油ベースの味付けの「醤油焼きそば」、味噌ベースの味付けの「味噌焼きそば」、カレーベースの味付けの「カレー焼きそば」など、消費者の嗜好の多様化に伴って様々なバリエーションが誕生し、それぞれ人気を博しています。

話は少し脱線しますが、日本食に詳しい方であれば焼きそばという名前に「蕎麦」という名前が含まれていることから、日本蕎麦と焼きそばの関連性を想像される方もいるかもしれません。ただし、残念ながら焼きそばに採用されている麺は日本蕎麦で採用されているそば粉を使用した麺とは異なり、中華麺が採用されています。また、レストランで「五目焼きそば」という「焼きそば」を名前に含んだメニューを見かけることがあります。こちらは中華麺を採用しているものの味付けはソース味ではなく、調理した肉・海老・人参・筍・椎茸などの具を水溶き片栗粉などでとろみをつけて合わせた餡を掛けたものとなっておりますので、ソース味の焼きそばを目当てにレストランでオーダーをする際はご注意ください。
 

■「日本三大焼きそば」とは?

先に秋田県の横手市が日本三大焼きそばの一つ「横手やきそば」発祥の地であることを紹介しました。そのことはつまり、日本においては他に2つの有名な「ご当地焼きそば」が存在することを意味します。この章では日本三大焼きそばに名を連ねているそれぞれのご当地焼きそばについて、その特徴を紹介したいと思います。

1. 横手やきそば
まずは、現在における日本の焼きそばの原型を作った横手やきそばをご紹介します。横手やきそばの発祥地は先にも述べた通り秋田県の横手市です。出汁入りのウスターソースで味付けされるため、若干水分が多く甘めの味付けとなってます。具材としてはキャベツや豚ひき肉を使用し、目玉焼きがトッピングされている点も特徴です。付け合わせは、通常やきそばに添えられる紅ショウガではなく福神漬けが添えられます。横手やきそばは、先に触れたB-1グランプリというご当地グルメの祭典において優勝1回、準優勝1回を経験しているほどの人気を博している、日本人にとっては知名度の高いご当地焼きそばです。

2. 富士宮やきそば
日本において、ご当地焼きそばの存在を全国に知らしめたことで有名な焼きそばです。発祥は静岡県の富士宮市で、当地では古くから食べられていましたが、B-1グランプリの第1回と第2回で立て続けにグランプリを獲得したことで、全国にその名を大きく轟かせることになりました。その特徴は食べ応えのある麺のコシです。その他、ラードを絞った後の「肉カス」を具材として用いることや、イワシの削り粉を振りかけることが特徴として挙げられます。その独特の味わいがクセになり、本場の味を楽しむために富士宮市を訪れる人が後を絶ちません。

3. 太田焼きそば
日本三大焼きそばの最後の一角を担う太田やきそばは、群馬県太田市で提供されているご当地焼きそばです。日本三大焼きそばに名を連ねている他のご当地焼きそばと異なり、太田焼きそばは味付けや調理方法に明確な特徴を定義しておりません。むしろこの地域の店によって提供されている麺や具に工夫を凝らした様々な焼きそばのバリエーションが、太田焼きそばのコンセプトをユニークなものとしています。太田焼きそばを提供する店で組織されている「上州太田焼きそばのれん会」のウェブサイトにも「同じものは二つとしてない」点がスローガンとして掲げられています。

実はこれら日本三大焼きそば以外にも紹介したい魅力的なご当地焼きそばが多くあるのですが、紙面の都合上今回はその中から1つだけ紹介させてください。それは岡山県真庭市蒜山(ひるぜん)地方で提供されている「ひるぜん焼そば」です。こちらはジンギスカンのたれや味噌だれなどを用いた濃厚な甘辛い味わいが特徴となっており、具材には鶏肉やキャベツを用います。2011年に開催された第6回B-1グランプリで全国第1位を獲得したことから、近年日本では大きな注目を集めている焼きそばです。実はMyojo USAのPREMIUM SAVORY MISO YAKISOBAは、このひるぜん焼そばを参考に開発した一品となっております。通常のソース焼きそばとはまた違った魅力がありますので、ひるぜん焼そばにご興味を持たれた方はぜひこちらもお試しください。

また、今回ご紹介した情報以上に日本のご当地焼きそば事情を更に掘り下げたい方は、ぜひGoogleにて日本語で「ご当地焼きそば」というキーワードで検索をしてみてください。そこできっとあなたは奥深いご当地焼きそばの世界の一端を垣間見ることができるはずです。
 

■お家で焼きそばを楽しもう!

アメリカで日本式のソース焼きそばが食べられる場所は、主に日系のレストランや居酒屋になるかと思います。また、ラーメン屋や日本の食材を扱うスーパーマーケットのフードコートでも、焼きそばが提供されていることがあります。ひょっとしたら日本の文化にちなんだ屋外イベントでは、ソース焼きそばを振る舞う屋台が出展される可能性は高いかもしれません。

とはいえ、まだまだアメリカでは気軽に焼きそばをオーダーできる環境が十分に浸透しているとはいいがたいのも事実です。それならばいっそお家で焼きそばを作ってみましょう!焼きそばは屋外でも手早く作れるほど非常にシンプルな料理で、必要なのはお好みの肉と野菜、それとソースに焼きそば用の麺です。肉と野菜に関しては、お好みのものを近所のスーパーで手に入れましょう(ベジタリアンの方であれば肉を抜いてもOKです)。ソースと焼きそば麺に関しては、ぜひともMyojo USAにお任せください!以下の商品でお手軽にご家庭で本格的な日本式ソース焼きそばを作ることができます。

Premium Yakisoba Series

PREMIUM ORIGINAL YAKISOBA
https://www.myojousa.com/ja/product/premium-original-yakisoba/
PREMIUM SAVORY MISO YAKISOBA
https://www.myojousa.com/ja/product/premium-savory-miso-yakisoba/

Premium Yakisoba Seriesの特徴

  • 弾力のあるもちもち食感の太麺
  • ソースの味付けに合わせてそれぞれ最適な麺の太さで提供
  • 旨味の凝縮された液体タイプのソース
  • 2食入り

Signature Yakisoba Series

SIGNATURE ORIGINAL YAKISOBA
https://www.myojousa.com/ja/product/signature-original-yakisoba/
SIGNATURE SALT & PEPPER YAKISOBA
https://www.myojousa.com/ja/product/signature-salt-pepper-yakisoba/
SIGNATURE CURRY YAKISOBA
https://www.myojousa.com/ja/product/signature-curry-yakisoba/
SIGNATURE YAKISOBA NOODLES ONLY
https://www.myojousa.com/ja/product/signature-yakisoba-noodles-only/

Signature Yakisoba Seriesの特徴

  • コシのある中細麺
  • パウダータイプのソース
  • 3食入り

実は、今回耳寄りなニュースがあります。なんと、これまでのMyojo USAのYakisobaラインアップに新たに2商品が加わることになりました!
まず1つ目はPremium Yakisoba Seriesの「SPICY HABANERO」です。

こちらはハバネロを効かせたスパイシーさと野菜やフルーツからなる濃厚な甘辛さが合わさったクセになる味わいが特徴の焼きそばです。他のPremium Series同様、もちもちの太麺を採用しており、濃厚なソースとの相性が抜群です。刺激的な辛さをお好みの方はぜひお試しください。

2つ目に紹介する新商品は「IPPEI CHAN YAKISOBA(生麺タイプ)」です!

ひょっとしたら「一平ちゃん」の名前はすでにカップ焼きそばでご存じの方も多いかもしれませんが、今回はなんとその一平ちゃんが生麺タイプで北米デビューすることとなりました!おなじみのからしマヨネーズも、もちろん付いています。また、一平ちゃんの特徴である、麺にソースを練りこむ製法を生麺タイプにも採用しています。「焼きそばとマヨネーズの相性は抜群」であることを日本全国に知らしめたその特徴ある味わいを、ぜひ生麺でも体験してください。

Myojo Yakisobaが手に入る場所はこちら
https://www.myojousa.com/ja/where-to-buy/

 

■レシピ応用編:「横手風やきそば」にチャレンジ

通常のソース焼きそばをマスターしたら、次はぜひMyojo USAの焼きそばを使用してご当地焼きそば風の味付けにもチャレンジしてみてください。今回は日本三大焼きそばのうち、横手風やきそばのレシピをご紹介します。日本人を魅了し続けているその味わいは、近い将来アメリカでもブレークするかもしれませんので要チェックです!

横手風焼きそばのレシピ
https://www.myojousa.com/recipe/yokote-style-yakisoba/ 
※レシピに麺つゆ、みりんなどアメリカでは手に入りにくい材料が含まれますが、麺つゆは醤油、みりんは砂糖で代用可能です。
※福神漬けは添え物なのであくまでオプションとなりますが、本格的に現地の味を再現したい方は頑張って手に入れてみましょう。
 

■結論

今回は日本の焼きそばの持つユニークな特徴について紹介しました。本文でも紹介しましたが、焼きそばは日本人に本当に愛されている一品です。もしあなたが日本を訪れたのなら、まずコンビニエンスストアで必ず焼きそばが売られているのを目にすることでしょう。また「焼きそばパン」や「オムそば」「そばめし」など、焼きそばから派生した数々のユニークな料理が続々と生み出されていることからも、焼きそばが日本人にとって愛着のある料理であることに気づくはずです。更に言えば、日本人にとって焼きそばは夏祭りや屋外イベントなどでよく見かける屋台料理の定番でもあります。これから夏にかけて、日本では数多くの焼きそば屋台が香ばしいソースの香りで多くの人々の食欲を刺激することでしょう。この季節に日本を訪れることがあれば、ぜひ屋台の焼きそばを味わってみてください。外で食べる解放感も相まって、たちまち虜になること間違いなしです。そしてその感動をアメリカに戻って再現したくなったら、(もうお分かりですね)その時はぜひMyojo USAの焼きそばを使ってみてください!
 

参考:

焼きそば – Wikipedia
Chow mein – Wikipedia
Fried noodles – Wikipedia
ウスターソース – Wikipedia
焼きそばのルーツ『炒麺』とソース焼きそばのルーツ『浅草焼きそば』 – ニッポン放送 NEWS ONLINE
焼きそばをソースで味付けするのは日本だけ? | 横浜中華街世界チャンピオンの肉まん皇朝(こうちょう)
焼きそばブーム | 心の診療所 マルシェグループ
焼きそばの歴史・分類・ご当地焼きそば | ご当地グルメ研究所 – 楽天ブログ
焼きそばの発祥と由来はどこの国?日本と世界の代表焼き麺まとめ – めんおぶらいふ
第26回 焼きそばについて|みんな大好き日本の国民食を知ろう!!|食について学ぼう たべもの事典|グリコ栄養食品株式会社
国民食の裏には意外な歴史背景が!マニアが語る『焼きそば論』 – メシコレ
焼きそば文化 | 日本食品名産図鑑
日本三大焼きそばとは!? | ニッポン旅マガジン
横手やきそば – Wikipedia
横手やきそば暖簾会
富士宮やきそば学会 | 「B-1グランプリ」殿堂入りご当地グルメ
上州太田焼そばのれん会
ご当地グルメでまちおこしの祭典! B-1グランプリ
ホッケン・ミー – Wikipedia
ミーゴレン – Wikipedia
パンシット – Wikipedia
明星 一平ちゃんブランドサイト – 明星食品