今回のスタッフブログは、「ラーメンについてシェフに聞いてみよう!」と題して、Keizo Shimamotoさんへインタビューを実施。ラーメン・麺づくりのプロがどのようなこだわりを持って麺を作っているのか、それを知るといつものラーメンも違った味わいに感じられるかもしれません。これから麺づくりに挑戦してみたい方も参考にしてみてください。
Keizo Shimamoto
Ramen Burger発案者。Ramen Shack経営。
日本でのラーメン修行中に出会ったチャーシューを使用したバーガーに影響を受け、アメリカでRamen Burgerを発案し大ヒット。
ラーメンを知り尽くし、ラーメン作りに情熱を注ぐ。自他ともに認めるラーメンフリーク。
- 目次
ラーメン・麺づくりの経歴
– Keizoさんこんにちは。今日はKeizoさんのラーメンへのこだわり、麺づくりの奥深さを伺えればと思います。まずは、Keizoさんのラーメン・麺づくりの経歴を教えていただけますか?
Keizo:日本でラーメン屋に勤めていた時に麺作りを始めました。それ以来、ラーメン業界の友人から学びながら技術を磨いてきました。そして2017年に、ニューヨークで製麺所を立ち上げ、自身のお店である「Ramen Shack」をはじめ、ニューヨークの複数のラーメン店に向けてプレミアム生麺の製造を開始しました。
麺づくりの基本って?
– ラーメンの麺づくりについて、まず知っておきたい基本的なことは何ですか?
Keizo:ラーメンの麺は、小麦粉・塩・かんすい・水からできています。そう、たった4つだけなのです。そして、この4つの材料を組み合わせるだけで様々なタイプの麺をつくることができます。中でも小麦粉は最も自由度が高く、麺づくりの調整に使われる材料です。
– 近所のスーパーに行くと、いろいろな種類の小麦粉が並んでいるのを見かけますよね。では、その中からどの小麦粉を選べばよいのでしょうか。
Keizo:私は複数の小麦粉をブレンドして、一種類の小麦粉のみではなかなか出すことのできない独特な麺の食感や香りを作るのが好きです。時には、硬い小麦粉と柔らかいケーキ用の小麦粉をブレンドすることもあります。試しにいくつかの小麦粉をブレンドしてみるのもいいですが、小麦粉のタイプや性質を少し知っておくと、今後のレシピの参考になります。
小麦粉のブレンド
– なるほど。ただ単に小麦粉と言っても、麺の特徴を作り出すために、様々な種類の小麦粉を使い分ける必要があるのですね。さらに気をつけるポイントはありますか?
Keizo:ここからさらに専門的になりますが、特に注目しているポイントは、使用する小麦粉のタンパク質と灰分の含有量です。
小麦粉の細かい種類などはパッケージ裏のラベルには記載されていませんが、現在ではほとんどのブランドがその情報をウェブサイトを通して公開しており、カスタマーサポートに電話をすれば教えてもらうこともできます。こちらは、King Arthur Baking Company websiteのウェブサイトに掲載されている例です。
14% Protein | .52% Ash | Malted, EnrichedA true high-gluten flour milled from the highest protein spring wheat. Use when strength is the priority; gives you high volume and extra chew. Perfect for authentic NY-style pizza and bagels as well as adding strength to formulas high in whole grains.West Coast Artisan
11.7% Protein | .52% Ash | Malted, Enriched
A regional all-purpose artisan bread flour milled in California characterized by moderate protein and higher-than-average absorption. Ideal for a full selection of artisan breads, pizza, and pastries.”
一般的に、タンパク質の含有量が多いほど、麺は硬くなります。多くの場合、異なる小麦粉をブレンドすることによってのみ、タンパク質含有率を調整することができます。そのため、小麦粉の種類を把握し、適切なものを選ぶことがとても重要なのです。灰分は麺の色に影響し、一般的に灰分が多いと麺の色が濃くなります。また、灰分が多いと香りが強くなることに気が付きましたが、これは製粉に使われる小麦の種類によっても変わるかもしれませんね。また、灰分が多いと、麺の熟成に伴う構造の変化のスピードが速くなります。例えば、食べるまでの時間が長いほど、品質の変化も大きくなります。
– 異なる小麦粉をブレンドすることで、やわらかい麺、歯ごたえのある麺、色の濃い麺、色の薄い麺と自由自在に調整することができるのですね。
Keizo:そこが麺づくりの面白く奥深いポイントですね。参考までに、プロが作る一般的なラーメンの麺は、タンパク質が10%、灰分が0.35%程度だそうです。ブログを読んでいる皆さんもこの数値をスタート地点に、調整を行いながら実験してみてくださいね。
最後に
– 最後にKeizoさんのラーメンへの思いを聞かせていただけますか?
Keizo:私にとって、ラーメンは人生です。料理人一人ひとりの手によって多様に変化する芸術です。多くの知識と経験によって、お客様の心に響くラーメンを作ることができると思っています。この記事を通して、皆さんの麺への理解が少しでも深まれば幸いです。
Myojo × Keizo Shimamoto
Reference link:
Bakery & Food Service Products | King Arthur Baking