皆様もご存じの通り、ラーメンはスープ・麺・具の組み合わせで無限のバリエーションが生み出せるメニューです。その中からお客様の支持を得られるテイストやスタイルは、時代背景やロケーションなど様々な条件によって移り変わります。現在アメリカでは豚骨ラーメンが人気を集めていますが、その一方であっさりとした植物性の素材でだしを取った醤油ラーメンや、スープを別に提供するつけ麺、スープを伴わないまぜ麺などもラーメンファンの間で注目を集めています。また、先の記事でも紹介したビリヤラーメンなど、日本のラーメンに異なる国の料理スタイルをフュージョンさせることで新たなラーメンブームが生み出されている流れも見逃せません。
このように昨今のラーメントレンドは多彩なバリエーションが乱立しており、様々なスタイルのラーメンを楽しみたい一消費者としては非常に喜ばしい状態になっています。そんな中、一歩先んじて次のブームを作るラーメンは果たしてどのようなものになるのでしょうか?これは予測するのが非常に難しい問題です。そこで今回私達はラーメンというジャンルの枠にとらわれず、現在広くアメリカで起きているフードトレンドに注目しながら、これからブームを作るかもしれないラーメンを大胆にも予測しようと思います。まだ見ぬ未知のラーメンに興味津々の方にはピッタリの記事になっておりますので、ぜひ最後までお付き合いください!
- 目次
- SNSが作るフードトレンド
- トレンド食材が及ぼすラーメンへの影響
- ヘルシーフードブームが及ぼすラーメンへの影響
- フードテックが及ぼすラーメンへの影響
- 最後に ~2023年のフードトレンド予想とラーメントレンド予想~
■SNSが作るフードトレンド
まずはSNSを取り巻くフードトレンドを見てみましょう。SNSが世の中に浸透してから、SNSを通じて話題のレシピがあっという間に注目を集めるという流れが、珍しいものではなくなったように思います。この動きは2022年になっても変わらず、今後もさらにこの動きが加速しそうです。ここでは最近生まれたSNS発の人気レシピの中から、ラーメンに関するものに絞って見ていこうと思います。どれもキッチンにあるもので簡単にアレンジができることが共通点ですね。
・TikTok Ramen
@kaitlingates #foryourpage #fyp #kyliejenner #ramen #food ♬ Buttercup – Jack Stauber
カイリー・ジェンナーが2016年にスナップチャットでポストしたレシピが、なぜか最近になってTikTok上で話題を呼びました。インスタントラーメンにガーリックパウダー、バター、卵を加え、一層クリーミーな味わいとなっている点が好評なようです。最近ではこのレシピから派生して、汁なしで味付けに醤油やブラウンシュガー、仕上げにエブリシングベーグルスパイスを用いるものも出てきているようです。ちなみにこちらは弊社で調理をした最新のTikTok Ramenです。
・Mayo Ramen
こちらのラーメンハックレシピは日本が発祥のようで、そこからTikTokなどを通じて一斉に広まりました。使用する材料は、インスタントラーメン、卵、おろしニンニク、そしてもちろんマヨネーズです。よりクリーミーな味わいを出すために、マヨネーズは製造時に卵黄しか使用していないキユーピーのものを使用するのがコツのようです。
・Cheesy Ramen
@insta.noodls @snackqween told me to do this #cheese #ramen #foodtiktok ♬ Monkeys Spinning Monkeys – Kevin MacLeod & Kevin The Monkey
ラーメンにチーズを入れるレシピは、韓国の家庭では昔から一般的に浸透している食べ方なのですが、さらにその食べ方を進化させたのがCheesy Ramenといえそうです。こちらも近年TikTok上で大きな反響を呼びました。インスタントラーメンに、アメリカンチーズ、バター、ミルク、そしてスリラチャなどのチリソースを用いるレシピが一般的ですが、アメリカンチーズの代わりにパルメザンチーズを使用するパターンもあるようです。アルフレッドパスタをラーメンで再現したようなリッチな味わいが人気を集めています。
■トレンド食材が及ぼすラーメンへの影響
次に、昨今消費者が多大な関心を寄せているトレンド食材に注目してみたいと思います。すでに様々な商品に取り入れられている食材も多いのですが、これらがどのようにラーメンにも取り入れられるかについても考えてみたいと思います。
・ハイビスカス
花を料理に用いる際は装飾としての利用が一般的ですが、ビタミンC等の栄養を豊富に含んだハイビスカスは、昨今食用としても注目を集めています。一部の方には既にハイビスカスティーやラテン系のフルーツドリンクAgua Frescaでお馴染みですが、その独特のフルーティーな酸味と鮮やかな赤紫色はデザート用のソースとして用いても効果的です。しかし、ハイビスカスの利用方法はそれだけにとどまりません。なんと、乾燥したハイビスカスの花弁はニンニクや玉ねぎと炒めることでタコスやケサディーヤの具にもなるのです!また、このハイビスカスを、以前の記事で紹介した冷やし中華のソースとしてアレンジするのも面白そうです。その程よい酸味とトロピカルなフレーバーは、きっと夏にピッタリな冷やし中華に更なる清涼感をもたらしてくれることでしょう。
・モリンガ
主に南アジアやアフリカで食されているモリンガも、豊富なビタミンとミネラルを含んでいることから近年注目を集めている食材です。食用として用いられるのは主に葉と未成熟の種鞘(その形状からドラムスティックと呼ばれています)ですが、欧米では粉末状のもの(モリンガパウダー)が手に入りやすいかと思います。モリンガパウダーをスムージーやパンケーキに用いるレシピはすでに人気を博しています。そこで私達は、このモリンガパウダーを麺の生地に練りこむことを考えました。モリンガパウダーの風味は抹茶の風味に近いため、抹茶を麺に練りこんだ茶そばに近い味わいが期待できるのではないかと思います。
・ターメリック
インド料理によく使用されるターメリックも、そこに含まれるクルクミンが抗炎症作用や抗酸化作用に効果があるという研究結果が発表されたことから、消費者の注目を集めています。近年ではターメリックラテ(ゴールデンミルク)も話題になりましたね。ターメリックはカレーの香辛料としてもよく使用されているので、ラーメンとターメリックの組み合わせとして私たちが真っ先に思い付くレシピがカレーラーメンです。実はカレーラーメンのレシピ自体は、日本では古くから馴染みのあるものなのです。それは カップヌードル それはカップヌードルのカレー味が1973年から提供されていることからもうかがえると思います。また、日本では近年、北海道にある室蘭市のご当地ラーメンである 室蘭カレーラーメン が人気を博していることから、今後カレーラーメンがアメリカでも注目を集める可能性は非常に高いといえそうです。
・柚子
日本で主に消費されている柚子は、レモン、グレープフルーツ、マンダリンオレンジを掛け合わせたような味わいが特徴です。近年、柚子は西洋のシェフたちの間でレモンに代わる新たな柑橘系の味わいとして注目されています。実はさっぱりとした「柚子塩ラーメン」で有名なラーメン屋「AFURI」は、2016年に既にアメリカに上陸しており、近年の柚子ブームを受けてアメリカでの柚子塩ラーメン人気が加速することが予想されます。また、柚子を使用したスパイシーな調味料である「柚子胡椒」も、もとは鍋料理の薬味に使用されることが多かったのですが、ラーメンの薬味としても関心を集めています。その一例として、九州の大分で生まれたご当地ラーメン「柚子胡椒ラーメン」も近年注目を集めています。
■ヘルシーフードブームが及ぼすラーメンへの影響
消費者が食べ物を購入する際には、必ず「おいしい」と「ヘルシー」の間で気持ちが揺れ動きます。この二つの要素はそれぞれ相反するものなのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。これまでのフードトレンドを制してきた食材の多くは、この「おいしい」と「ヘルシー」を両立できたからこそ、その地位を確立できたのではないでしょうか。このチャプターでは、そのような消費者からの高い要求に答えることで、今年のフードトレンドのトップランナーになることが予想される食材をいくつかご紹介します。また、これらがラーメンにどのような影響を及ぼすのかについても考察をしていきたいと思います。
・プラントベースのスープ
近年のベジタリアンメニューの進歩は目覚ましいものがあります。かつてのベジタリアンメニューは通常のメニューに使用されている動物性の食材を植物性のもので代用するにとどまり、その味の満足感は通常のものに及ばない例がよく見られました。しかし、近年のベジタリアンメニューは通常のメニューと同等、もしくは全く新しいタイプの満足感を提供するものも多くあります。実はラーメンのスープも、こうしたベジタリアンメニューの高品質化に対するニーズに応えるべく進化を遂げています。冒頭でもお伝えした通り、現在アメリカでは豚骨ラーメンが人気ですが、椎茸や昆布など植物性の素材を使用して旨みと深みのあるスープを提供するRAKKAN Ramenのようなお店も新たなファン層を獲得しています。私達Myojo USAも「動物系の食材を含まないスープ」を望まれているお客様の要望に応えるべく、以下の商品を開発しました。いずれもベジタリアンの方にピッタリのスープとなっておりますのでぜひお試しください。
Retail商品
VEGETARIAN SHOYU SOUP BASE PACKETS
Food Service商品
VEGETARIAN SHOYU SOUP BASE
VEGETARIAN SHIO SOUP BASE
・ひよこ豆パスタ
数あるグルテンフリーヌードルオプションの中で、近年ひときわ注目を集めているのがひよこ豆粉で作られたパスタです。通常のパスタと比べて炭水化物が少ないのはもちろんのこと、たんぱく質と食物繊維が摂取できる点が魅力です。しかも通常のひよこ豆の状態で摂取するよりも、消化しやすい点も更なる利点といえそうです。このようにいいことづくめの食材なのですから、ぜひともラーメンの麺を作る際の食材としても活用したいところです。ただし、ひよこ豆をたんぱく源として考慮する際には注意が必要です。ひよこ豆は必須アミノ酸をすべて含んでいない「不完全たんぱく質」のため、ひよこ豆をたんぱく源として摂取する場合は、豆腐など完全たんぱく質と組み合わせることが推奨されています。
・低糖質麺
パスタやラーメンをお腹いっぱい食べたいけれど体重が気になる方のために、最近では糖質を含まない多様な代用麺が脚光を浴びています。有名なところでは、ズッキーニを用いた「ズードル」や麺のような糸状の瓜「キンシウリ」(スパゲティスクアッシュ)が挙げられますが、ラーメンの代用麺としては日本発のしらたきも活用されています。こんにゃく芋を原料とするしらたきは、こんにゃく同様、カロリーが低く食物繊維が豊富で、ダイエット食品として非常に適しています。日本では、おでんなどの醤油出汁ベースの鍋物に使用されることが多いしらたきですが、ラーメンレシピと合わせる場合、醬油スープとの相性がよさそうです。消費者も「ラーメンに使用する低糖質麺」として、しらたきを選択する方が多いのではないかと予想します。
■フードテックが及ぼすラーメンへの影響
最後に、食品業界の技術革新がもたらした注目の商品をご紹介したいと思います。一昔前では思いつきもしなかった新しいコンセプトを伴った数々の商品が、市場のあらゆるニーズに応える形でスーパーマーケットの陳列棚を今日もにぎわせています。今回はそんな中から特に注目度の高いものをピックアップし、それらがラーメンにもたらす可能性について考えてみたいと思います。
・ヴィーガンエッグ
卵は食卓の必需品であると昔から考えられてきましたが、その製造過程が及ぼす環境的影響やコレステロール摂取による健康的影響から代用食品が望まれていました。そんな中登場したのがヴィーガンエッグです。環境や健康面に配慮しつつ、従来の卵が果たしていた、たんぱく源としての役割も担うヴィーガンエッグは、正に理想的な食材といっても過言ではありません。しかも驚くべきことに、ヴィーガンエッグは味やテクスチャーも卵を完全に再現しており、オムレツなども通常の卵と同様に作れるのです。そうなると、私達としては中華麺の材料として使用する卵の代わりにヴィーガンエッグを使用するとどうなるのか興味があります。果たして通常の卵同様においしい中華麺が作れるのでしょうか?ぜひとも試してみたいところです。
・プラントベースチキン
数あるプラントベースミートの中でも、現在最も注目度が高いのがプラントベースチキンといえるでしょう。プラントベースチキンの需要の高まりも、ヴィーガンエッグ同様に環境的影響と健康的影響がきっかけです。植物性素材を原料としながらテクスチャーなどは実際の鶏肉に迫るものとなっているので、私達がウェブサイト上で公開している鶏肉を利用したラーメンレシピにおいて、鶏肉の代わりにプラントベースチキンを利用することで、よりヘルシーなレシピを考案することができそうです。
鶏肉を利用したレシピはこちら
・ポテトミルク
アーモンドミルクやココナッツミルクなど、代替ミルクは注目商品が目まぐるしく移り変わることで有名ですが、2022年に入りこの市場に参戦して瞬く間に注目を集めたのがポテトミルクです。味がおいしいのはもちろんのこと、飽和脂肪酸と糖質が共に低いことも注目を集めている理由です。更に商品ライフサイクルにおける二酸化炭素排出量が低い点も、特に環境に配慮した商品を支持する傾向が高い層を取り込むうえで、今後有利に働くことが予想されます。このポテトミルクをラーメンに応用するアイデアはいろいろありそうですが、私達としてはまず以下のレシピで使用されている豆乳をポテトミルクに置き換えてみるところから始めてみたいと思います。
味噌味とポテトの相性はこちらのレシピですでに実証済みなので、絶対にうまくいくこと間違いなしです!
■最後に ~2023年のフードトレンド予想とラーメントレンド予想~
今回の記事では、2022年の主なフードトレンドをご紹介しました。皆様はこれらのトレンドに対してどのような感想を持ちましたでしょうか?全体的に健康面に配慮したトレンドが多い印象ですね。今回ご紹介した情報をもとに、来年2023年にどのようなフードトレンドが到来するのか予測してみるのも面白いかもしれません。
ここで一つ興味深い記事をご紹介します。このAI Predicts 3 Food Trends for 2023 – The Food Instituteという記事では、なんと様々なデータの分析をもとにAIで予測した2023年のフードトレンドが紹介されています。その予測内容は例えば以下のようなものとなっています。
・Alternative Seafood
健康的な食材として魚の消費需要が伸びている一方で、魚の乱獲が懸念されています。そうした中、この課題を解決するために今後プラントベースのシーフードへの注目度が上がることが予想されています。
・Clean Label
健康やサステナビリティへの配慮や、無添加であることを商品パッケージ上で明記することに対する消費者の要求が、これまで以上に高まりを見せています。これを受けてこうしたClean Label表示のある商品や、その製造に貢献できる原材料メーカーの需要が伸びることが予想されています。
この予測を見ても、健康に関する消費者の関心がしばらくはフードトレンドの方向性を決定づける重要なファクターとなることが想像できます。また、環境に関する関心の高まりも今後大きくなっていくことが予想されます。
そしてこのトレンドはラーメンにも影響をもたらすのでしょうか?その可能性は大いにあると考えられます。健康面に配慮した低糖質麵やプラントベースのだしで作られたベジタリアンラーメンは、今後のラーメン業界をけん引する大きなトレンドとなることは間違いありません。
また一方で、ラーメンに高い関心を寄せている消費者は、常にまだ味わったことのない未知なるおいしさを求めてそのアンテナを常に張り巡らせていることも忘れてはいけません。SNS上で定期的にラーメンに関するレシピハックが注目を集めるのもまさにその表れだといえます。今回ご紹介したフードトレンドの中では、私は「柚子ラーメン」と「カレーラーメン」が、そうしたラーメンファンの心を掴むのに十分なポテンシャルを持っていると考えました。特にカレーラーメンはインスタントラーメンとカレールーを用いれば自宅ですぐに再現が可能なことから、SNS上でカレーラーメンに関するハックレシピがバズる可能性は大いにあり得るのではないでしょうか。
なお、今回ご紹介したフードトレンドは現在世の中をにぎわせている数あるフードトレンドのごく一部ですので、他にも興味深いフードトレンドやおいしそうなレシピハックを見かけましたら、ぜひ私達に教えてください。その際は、教えていただいた情報をヒントに新しいラーメンレシピを考えて皆様にご紹介できたらと思います。
今回の記事に最後までお付き合いいただきありがとうございました。引き続きラーメンにまつわる興味深い記事をご紹介していく予定ですので楽しみにしてください!
Reference links:
カイリー・ジェンナーのちょっと変わった「ラーメン」の作り方がバズる – フロントロウ -海外セレブ&海外カルチャー情報を発信
Taste Test: Kylie Jenner’s Favorite Instant Ramen With Butter and Eggs
KYLIE JENNER RAMEN RECIPE | TIKTOK RAMEN RECIPE DONE IN 5 MINUTES
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