キャビア、牡蠣、蕎麦?2024年のフードトレンドから予測する新しいラーメンはこれだ!

牡蠣、キャビア、燻製、チキンスープ、蕎麦 RAMEN TREND 2024

全国のラーメンファンの皆様、こんにちは!新たに2024年を迎えて1月もあと数日で終わりを迎えますが、そろそろ皆様の今年の抱負も定まっているのではないでしょうか。抱負には「日記を書く」「ジョギングなどエクササイズを始める」など定番のものは多くありますが、我々としてはぜひここに「新しい味のラーメンにチャレンジする」を加えることをお薦めします!というのも、ラーメン業界は現在進行形で今なお進化しており、日々新たな味わいのラーメンが登場しています。これはお気に入りの味のラーメンがあるからといって一つの味に固執してしまうにはあまりにもったいない状況です!もちろん中には「これはちょっと、、、」というものもありますが、このような活発なトライ&エラーがラーメン業界の進化を後押ししているのも事実です。そんな中であなた好みの一杯を発見できた時の喜びは、何にも代えられない体験となることでしょう。

それでは2024年はどんな新しいラーメンがあなたを待ち受けているのでしょうか?正直、現時点でどんなラーメンが2024年にお目見えするのかは予測が難しいのですが、以前の記事(2022年のフードトレンドから次世代ラーメンを予測?注目の食材をご紹介します!)で行った方法で、各地ですでに発表されているフードトレンド情報から、特にラーメンに影響がありそうなものを選定して、私たちの憶測も交えながら大胆にも2024年に登場するラーメンを予想しちゃいます!

 

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■キャビア

キャビア

 
頑張った自分へのご褒美としてプチ贅沢(little luxuries)を求める人々が多くなったせいか、2023年はご褒美の選択肢としてキャビアが人気を集めました。また、手にキャビアを乗せて直接食べる「Caviar Bump」も注目を集めましたね。この流れは2024年にも続くと思われ、そうなるとラーメントッピングとして、キャビアが料理人たちのアイデアとして候補に挙がってくることは想像に難くありません。ただここで「ラーメンとキャビアって合うの?」という疑問が当然ながら頭に浮かびます。その答えはイエス!です。数は多くないですが、日本でもキャビアをトッピングしたラーメンを提供するお店がいくつかありますので、アメリカのラーメン店でも採用される可能性があるかもしれません。
なおキャビアにまつわる余談となりますが、ここで一つ主に日本で使用されるユニークな食材を紹介させてください。それは「畑のキャビア」とも呼ばれている「とんぶり」です。なぜそのような名称を持つに至ったのかについては、以下の「とんぶり」の写真を見ていただければ一目瞭然なのではないでしょうか。

 

とんぶり

 

こちらはホウキギと呼ばれる植物を加工したもので、見た目のみならずプチプチとした食感もキャビアそっくりです。またキャビアに比べてお値段もお手頃です。ただし魚卵であるキャビアの濃厚な味わいは持ちえないので、キャビアの代替品として料理に使用する際は、その点に注意する必要があります。
 

■海苔

海苔たっぷりの家系ラーメン

 

皆様は「環境再生型農業(regenerative agriculture)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?これは自然環境を回復することを念頭に置いた農業を意味し、持続可能な社会を目指す我々にとって非常に重要なコンセプトとなっています。こうした環境再生型農業には水産業も含まれており、その中でも海苔を含む海藻の養殖は、その過程で海水中から多量の二酸化炭素を取り込み酸素を放出することから、環境再生に大きく貢献しているのです。
海苔のこうした環境貢献に注目が集まることで、今後海苔の消費量がもっと増えることが予想されます。そうなると、ラーメンのトッピングとしての海苔にも、もっと注目が集まるのではないでしょうか。もちろん今でも、数あるラーメントッピングの一つとして海苔は不可欠なものではありますが、日本では海苔をどんぶりの縁に敷き詰めた「海苔ラーメン」なるものも人気を集めていますので、このようなメニューが米国で人気を集める日もきっと遠くないでしょう。

 

■牡蠣

牡蠣

 

牡蠣も養殖中に水をろ過することから、海苔同様に環境再生型農業の側面から注目を集めています。また、日本人から見てアメリカの牡蠣には一つ興味深いエピソードがあります。アメリカで人気のある牡蠣の銘柄の一つとして、「Kumamoto Oyster」が挙げられますが、この名前に含まれる「Kumamoto」とは、実は日本の九州に属する熊本県のことなのです。これは第二次世界大戦後に、熊本からアメリカにこの種の牡蠣を輸出したことが由来となっています。奇妙なことに、1958年にアメリカへの輸出が途絶えたことで、本国の熊本では「Kumamoto Oyster」の生産がストップしたのですが、その品質が評価され、アメリカでは以降も同種の牡蠣に対して「Kumamoto」の銘柄が受け継がれることになったのです。しかし、2011年には長い沈黙を経て、ついに熊本でも「Kumamoto Oyster」の養殖並びに出荷が再開されました。なかなか珍しい出来事だと思いませんか?

肝心のラーメンと牡蠣との相性ですが、日本ではすでに牡蠣から出汁を取ったラーメン店が人気を集めていることもあり、そのおいしさは折り紙付きといっても差し支えないでしょう。以前の記事(うま味の秘訣は出汁にあり!ラーメンにおける出汁について調べてみました)で、近年の日本では魚介、動物系の出汁に続く新たなブームとして、ハマグリやしじみなど貝系の食材からとる出汁を取り上げましたが、牡蠣から出汁を取る手法はそんな流れの一つかもしれません。アメリカでも人気のある食材である牡蠣から出汁を取ったラーメンには、人気を集めるポテンシャルは十分にあると言えるでしょう。

 

■蕎麦

蕎麦

 

タンパク質、炭水化物、食物繊維を含む蕎麦は、近年グルテンフリーの食材として注目を集めています。日本人としてはまず麺に加工された蕎麦を想像しがちですが、挽いて粉状にしたもの(蕎麦粉)はパンケーキにも使用でき、その汎用性の高さも注目を集めている一因といえます。実は世界に目を向けると蕎麦を食材に使用する国は多く、その中でも有名なものとしてはフランスのガレット(そば粉のクレープ)があげられます。
日本もそば食が盛んな国ですが(ラーメン誕生の際にラーメンが蕎麦から受けた影響は無視できないと思います)、2024年の今、蕎麦がラーメンに影響を及ぼすとしたらどのようなことが考えられるでしょうか?まず考えられるのは、蕎麦麺のラーメンスープへの投入です。しかしこれは蕎麦の繊細な味わいと、動物系出汁であるワイルドなラーメンスープとの相性があまりよくないせいか、思いついても試している方はあまり見かけない印象です。そこでふと思い当たったのは、日本の「立ち食いそば屋」という店舗形態です。

 

立ち食いそば屋

 

立ち食いそば屋は日本の駅に必ずと言っていいほど常設されており、安価でスピーディーに料理が提供されるため、忙しいビジネスマンに非常に人気です。そして忘れがちなこととして、いくつかの立ち食いそば屋では実はラーメンも提供されているのです。これをアメリカの状況に応用するのであれば、「ラーメン店だけど蕎麦を提供するお店」が誕生する可能性があることは大いに考えられるのではないでしょうか。
 

■ノスタルジックフード

 

テーブルで自家製チキンスープを食べる女性を上から見た図

 

子供のころの古き良き思い出を想起させるノスタルジックな味わいは、2024年になっても引き続き人気を集めることが予想されます。キャセロールやマカロニ&チーズなどその引き金となる料理は様々ですが、ラーメンと相性のよさそうなノスタルジックフードはないかと探索を続けたところ、出会ったのがChicken noodle soupでした。Comfort foodであるChicken noodle soupの持つノスタルジックな魅力と、ラーメンヌードルの魅力的なコンビネーションは以下の記事にも紹介されていますので、興味のある方はぜひ試してみてください(ただしこの記事にも記載されている通り、ラーメンヌードルは伸びやすいのでスープと分けて保存し、調理時にスープと麺を合わせることをお薦めします)。

Ramen Chicken Noodle Soup

 

■背脂チャッチャ系ラーメン

背脂チャッチャ系ラーメン

 
アメリカでラーメンブームに火がついてから10年以上は経過したかと思います。その間に、とんこつラーメンを皮切りに、つけ麺、まぜ麺、はたまた家系や二郎系ラーメンなど日本で食べることのできる主要なジャンルのラーメンは、概ねアメリカ上陸を果たしたといえそうです。しかし日本で熱狂的な人気を得ながら、米国ではまだそれほど知名度を獲得していないジャンルのラーメンがまだまだ存在していることはご存じでしょうか?以前の記事(アメリカのラーメンブームはどこに向かうのか?大胆にも未来予想してみました!)で、そうしたラーメンの一角として「天下一品」のラーメンを紹介しましたが、こちらに負けず劣らずアメリカでこれから更なる人気を獲得するポテンシャルを秘めているのが「背脂チャッチャ系」ラーメンです。特徴は網越しに大量に振りかけられた豚の背脂で、そのため「背脂チャッチャ系」と名付けられているのですが、そのインパクトを理解していただくためには実際の調理風景を見ていただいたほうがよいでしょう(以下動画の4:50あたりからご覧ください)。
 

 
こちらはとんこつラーメンで濃厚なうま味のとりこになった方であれば、新たな濃厚スープの衝撃に心を奪われることはまず間違いないでしょう。
 

■燻製

燻製

 

Synergyによると、2024年は例年以上に濃いめでインパクトのある味付けがトレンド入りするとの予想が出ています。その際に好まれる味わいとして注目を集めているものの一つが、燻製を使用したスモーキーなフレーバーです。BBQの本場であるアメリカではビーフ、ポーク、ラム、ベーコンなど燻製の対象となるお肉の種類が数多く存在しますが、実は日本でも近年燻製のトッピングを提供しているラーメン店が人気を集めていることをご存じでしたでしょうか?よく見かけるのは、チャーシューやゆで卵などのトッピングを燻製で提供するお店ですが(ちなみに燻製したゆで卵は「くんたま」と呼ばれています)、以下に紹介するようなラーメン店ではスープまで燻製する徹底ぶりです。
 

 
このようにラーメンと燻製は日本ではすでに切っても切れないものとなっており、そこにアメリカならではの燻製トッピングが取り込まれることはむしろ自然な流れといえます。さらにこれからアメリカで起こるであろうスモーキーフレーバーへの注目と相まって、2024年はスモーキーフレーバーを強調したラーメンを提供するお店が多く生まれ人気を集めることが予想されます。

このブームを予感させるようなラーメンをすでに提供しているのがREDWHITE BONELESS RAMENです。ここは燻製の煙を閉じ込めたラーメンを蓋付きで提供しており、蓋を開けた時に立ち上る芳醇なフレーバーがラーメンの魅力を一層引き立てています。
 

 
また、インターネット上で紹介されているラーメンレシピの中でも、燻製したお肉をトッピングに利用したラーメンを見つけることができます。このこともこれから訪れるであろうスモーキーフレーバーラーメンブームと関係しているかもしれません。参考までにそのうちのいくつかをご紹介しますので、興味のある方はご家庭でお試しください。

Smoked Pork Belly Ramen

Smoked Brisket Ramen
 

■結論

今回は各地ですでに発表されている2024年のフードトレンド予想をもとに、これから登場するであろうラーメンを大胆に予想してみました。皆さんは今回の予想のうちいくつが当たると思いますか?また、この中に記載されていない予想の中で「これは外せない」と思うものがあれば、ぜひ私たちにも教えてください。
最後に番外編になりますが、こんな予想も立ててみました。それは「セレブがオーナーのラーメンレストランのオープン」です!有名なところでは俳優のロバート・デ・ニーロがレストランNOBUのオーナーであったりと、セレブがレストランを経営している事例は多く存在しているのですが、ラーメンレストランに関してはまだその動きはないようです。ラーメン好きで知られるキアヌ・リーブスのようなセレブが、近い将来ラーメンレストランの経営に乗り出す日が来ることも期待しています。
今回取り上げた予想が2024年の皆様のラーメンライフに少しでもお役に立てれば幸いです。それではまた次回の記事でお会いしましょう!

 

Reference links:

2024 Food and Drink Trends – Yelp
Get an early taste of top food trends for 2024: Recipes, tips and products rising in popularity – ABC News
2020年、環境再生型農業が拡大する――サステナビリティの次の段階「リジェネレーション」とは | サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan
The Next Big Things: Our Top 10 Food Trends for 2024 | Whole Foods Market
These Are The Food Trends For 2024 — Here’s What’s Worth It – Brit + Co
5 Trends to Watch 2024: Savory – Synergy
ラーメンの次なる潮流は「新しさ」から「懐かしさ」へ! 注目を浴びる新ジャンル「ネオクラシック系」とは? – ライフ・文化 – ニュース|週プレNEWS
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