異国情緒が漂う長崎を代表するご当地ラーメン、「ちゃんぽん」とは?ラーメンとの違いは何?

日本には、それぞれの地域に根差した独特の食文化を反映した地方色豊かなご当地ラーメンが数多く存在します。今回は、鎖国時代の日本で数少ない開港地として外来文化を受け入れてきた町、長崎で生まれた「ちゃんぽん」の魅力をお届けします。他のラーメンとの違いなど、興味深い情報が盛りだくさんです!

  • 目次

 

■ちゃんぽんとは?

ちゃんぽんとは、野菜や魚介(新鮮な魚、エビ、イカ、貝類、カマボコ、キャベツ、葱、もやしなど)十数種類の食材を炒め、鶏ガラや豚骨等で取ったスープで味を調えたところに、特製の太麺を入れて煮立てた料理で、具材が多いため栄養価が高い点が特徴です。福建料理の『湯肉絲麺(とんにいしいめん)』がそのルーツとされているともいわれており、中華料理の技法と長崎の豊富な海産物が出会って生まれた料理ともいえそうです。江戸時代に鎖国で外国との文化的交流が途絶えていた日本で数少ない開港地であったという長崎の環境も、この異なる二つの食文化の交流を後押ししたといえるかもしれません。なお、長崎は他にもカステラや天ぷらなど海外からの影響で生まれた料理の発祥地としても知られ、当時の国際色豊かな食文化の雰囲気を今も色濃く残しています。

 

■ちゃんぽんの味とは?

スープの見た目は白濁しているのが特徴で、豚骨ベースで作られたものはこってり味、鶏がらベースで作られたものはあっさり味になります。また、双方をミックスして味を調えるケースもあります。

そして、もう一つの特徴は麺です。ちゃんぽんに使用される麺は太くコシのあるもので、通常の中華麺を作る際に使用するかん水とは異なる「唐灰汁」を使用しています。かん水は炭酸カリウムが主成分なのに対し、唐灰汁は炭酸 ナトリウムが主成分のため、これが中華麺とは異なるちゃんぽん麺独自の風味とモチモチとした食感を生み出します。

 

■ちゃんぽんのルーツ

ちゃんぽんの発祥は諸説あるようですが、その中でもよく知られているものをご紹介します。

きっかけは、明治時代中期に長崎の中華料理店「四海樓」の店主である陳平順が、長崎で学んでいた貧しい中国人留学生のために、彼らの食生活を何とかしようと思い立ったことに始まります。そして試行錯誤の結果、美味しく、ボリュームがあり、栄養価が高く、安価なメニューとして福建料理の『湯肉絲麺(とんにいしいめん)』をベースに完成されたメニューが、今日の長崎ちゃんぽんのルーツといわれてます。湯肉絲麺がベースとして採用されたのは、陳平順が福建省出身であることが理由にあると思われます。なお、このころ幕末から明治にかけて活躍した幕臣である勝海舟が、長崎でちゃんぽんを食べたという逸話も残っています。ただしこうして生み出されたメニューは当初は「支那うどん」と名付けられ、いつのころからか「ちゃんぽん」と名称を変えていったようです。1907年(明治40年)に出版された『長崎縣紀要』には「チヤポン」の表記で「濃厚な味ながら支那留学生や書生の好物で、すでに市内十数か所で提供されていた」と紹介されていますので、そのころには名称が変わっていたことが窺えます。

こうして、陳平順の思いやりから生まれたちゃんぽんは、その後留学生の間で人気となり地元長崎で定着しました。更にそうしたちゃんぽんの評判を聞きつけて文化人が長崎に多く訪れるようになり、次第にちゃんぽんは長崎名物としての地位を確立していったのです。

更に1974年には長崎ちゃんぽんを提供するチェーン店である「リンガーハット」が1号店を長崎市内にオープンし、今日に至るまでに日本全国に約600店舗を展開するまでに至ります。こうして長崎のご当地ラーメンであったちゃんぽんは、晴れて全国に名を轟かせることとなったのです。

なお、長崎ちゃんぽんの発祥地とされる「四海樓」は現存しており、今なお人気を博しています。店舗2階にはちゃんぽんの歴史が学べる「ちゃんぽんミュージアム」も設けられてますので、長崎を訪れる機会があればぜひ立ち寄ってみてください。

■ちゃんぽんとラーメンとの違い

一見すると具だくさんなラーメン、といった印象のちゃんぽんですが、大きな違いがいくつかあります。先に述べた麺の作り方もその違いの一つですが、最も大きな違いはその調理過程です。

ラーメンは通常、麺、スープ、トッピングを別々に調理し、最終的にどんぶり上で完成させる料理です。沸騰したお湯で麺をゆで、しっかりと湯切りをします。スープは先に器に注いでおき、そこに湯切りをした麺を入れます。最後に、用意しておいたチャーシュー・ネギ・卵などのトッピングを盛り付けて完成です。それに対し、ちゃんぽんは魚介と野菜を炒め、そこにスープを注ぎ、最後に麺を入れて煮込む過程を一つの中華鍋で完結させる点に特徴があります。この「煮込む」という中華料理の技法が麺や具材に味を染み込ませることにつながり、ラーメンとは違うちゃんぽんならではの滋味あふれる味わいをもたらす、というわけです。

■「ちゃんぽん」の名前の由来

「ちゃんぽん」の語源には諸説がありますがまだ明確な答えが出てませんので、そのうちのいくつかを紹介します。まずは「福建語で「シャポン」または「セッポン」と発音する「吃飯」という単語に由来するもの」という説。これは『吃过飯了嗎(ご飯を食べたか?)』と挨拶しあっていた中国人留学生の言葉を聞きつけた長崎人が、その挨拶に含まれている『吃飯』を「ちゃんぽん」の意味と勘違いしたのではないか、というものです。ちゃんぽんの生みの親である陳平順が福建省出身であることや、長崎が福建華僑の町として全国的に知られていることからも、この説は説得力があるようにも思えます。

二つ目は「ポルトガル語の「チャンポン(混ぜる・混合するの意味)」がなまったもの」という説。こちらもポルトガルが鎖国当時の長崎に出入りしていた国という点を考えると、もっともらしく思われます。なお、日本語では違う種類のお酒を順に飲んでいくことを「ちゃんぽんする」と言います。ひょっとしたら言葉のルーツは同じなのかもしれませんね。

最後に紹介するのが「中国の鉦(かね)のチャンという音と日本の鼓(つづみ)のポンという音、この2つの異質の音を合わせた造語」という説。こちらも二つの食文化が交わって生まれたちゃんぽんらしい名前の由来といえます。

あなたはどの語源が最も説得力があると思いますか?

■日本全国のご当地ちゃんぽん

ちゃんぽんが長崎発祥のご当地ラーメンであることは先にご紹介したとおりですが、他のご当地ラーメン同様、その地域の特性に合わせて数々のバリエーションが存在します。その中でも代表的な「ご当地ちゃんぽん」を紹介します。

・小浜ちゃんぽん
長崎県の雲仙岳麓にある昔からの温泉地である小浜温泉で、現在脚光を浴びているちゃんぽんです。スープは豚骨や鶏ガラをベースに特産のカタクチイワシで出汁を取ったまろやかな味わいです。トッピングに生卵がのっている点が特徴です。

・天草ちゃんぽん
熊本県天草諸島で発展したちゃんぽんです。この地はかつて船を介して長崎との交流が盛んであったため、ちゃんぽんが伝わったと思われます。鶏ガラや豚骨に魚介からのダシを合わせ、醤油や塩で調味したさっぱりしたスープが特徴です。スープが非常に熱いので、食べるときはご注意ください。

なお、上記で紹介した「小浜ちゃんぽん」「天草ちゃんぽん」に「長崎ちゃんぽん」を加えて、「日本三大ちゃんぽん」と呼ばれています。

その他にも、ちゃんぽん発祥地である長崎周辺にとどまらず、滋賀県からは「近江ちゃんぽん(鰹・昆布出汁ベースのスープ)」、鳥取県からは「鳥取カレーちゃんぽん」など、従来のちゃんぽんの定義に収まらないご当地ちゃんぽんが続々と発生し日本で人気を博しているのも昨今の興味深い現象といえます。

■とんこつラーメンのルーツとしてのちゃんぽん

現在、アメリカで広く親しまれているとんこつラーメンですが、このスープがちゃんぽんに影響して誕生したってご存じでしたか?とんこつラーメンの発祥地は福岡県久留米市にある「南京千両」と言われているのですが、そこで使われたとんこつスープが生まれたきっかけは、関東で支那そばの作り方を学んだ創始者の宮本時男が「コクのある味わいの支那そばを作りたい」という思いつきがもとになりました。宮本は長崎県島原市出身だったことから、長崎ちゃんぽんの濃厚な豚骨スープに慣れ親しんでました。そこで「長崎ちゃんぽん」の豚骨ベースをヒントに試作を繰り返し、こうして1937年(昭和12年)にとんこつラーメンが誕生したのです。

■韓国でも人気の「チャンポン」

実は韓国にも日本の「ちゃんぽん」と同名の「チャンポン」という麺料理があり、チャジャン麺と並ぶ庶民の味として広く親しまれています。ただし見た目は大きく異なります。鶏ガラや豚骨等で取った白いスープが特徴的な日本のちゃんぽんに対し、韓国のチャンポンは真っ赤なスープが特徴的です。これは粉唐辛子が入っているためで、辛く刺激的な一品となっています。その他、殻付きのムール貝が具材として使用されているのが、日本のちゃんぽんと異なる点です。韓国チャンポンの名前の由来も諸説ありますが、日本の「ちゃんぽん」に由来しているという説が有力です。

■11月3日は「チャンポン麺の日」

1988年(昭和63年)から、長崎県生麺組合連合会はちゃんぽんの広報活動を開始しました。その際に11月3日を「チャンポン麺の日」 と設定したのですが、これには理由があります。日本において11月3日は「文化の日」という国民の祝日であり、「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ことを趣旨としています。そのことを受け、長崎県生麺組合連合会は「11月3日を食文化の日と位置づけ、長崎の食文化の発祥はチャンポン麺から」という意味をこめ、11月3日を「チャンポン麺の日」 と設定した、というわけです。

■アメリカでちゃんぽんを食べる

残念ながらアメリカで長崎ちゃんぽんを提供するレストランは多くはありません。それならいっそお家でちゃんぽんを作ってみてはいかがでしょうか?実はちゃんぽん発祥の地である長崎では、ちゃんぽんの具が袋詰めされてスーパーで売られているほど、家庭でも定番の庶民的な料理なのです。お家で作るためのレシピも用意しました。材料はほとんどがアメリカで身近に手に入るものばかりなので、ぜひ一度お試しください。ヘルシー志向の方であればトッピングは野菜を多めにしてもよいでしょう。その際は弊社特製の「Myojo NAGASAKI CHAMPON」もお忘れなく。豚骨ベースのコクのあるスープともちもち太麺があなたを虜にすること間違いなしです!

●基本のレシピ:長崎ちゃんぽん

レシピはこちら:
https://www.myojousa.com/recipe/nagasaki-champon/

魚介類や野菜と一緒に麺をスープで煮込む伝統的な食べ方。長崎ちゃんぽんの特徴である太麺がスープにからみ、色とりどりの具材と一緒にコクのある味わいを楽しめます。

長崎ちゃんぽんの材料

・麺

「Myojo NAGASAKI CHAMPON」の麺を使用します。太麺でもちもちとした食感です。

・スープ

「Myojo NAGASAKI CHAMPON」のスープベースを使用します。お湯で割るだけで、本格的なコク深いスープが味わえます。

・トッピング

薄切り豚肉、シーフードミックス(エビ・イカ)、キャベツ、玉ねぎ、にんじん、もやし、キノコ類、かまぼこなどが一般的なトッピングです。お好みに合わせて、自由に魚介類、野菜を加えてみてください。カラフルで見た目にもおいしい長崎ちゃんぽんの完成です。

 

●アレンジレシピ:スパイシー長崎ちゃんぽん

レシピはこちら:
https://www.myojousa.com/recipe/spicy-nagasaki-champon/

コチュジャンと糸唐辛子を加え、ピリ辛に仕上げた長崎ちゃんぽんです。豚骨ベースの濃厚なスープと辛みが混ざり合い、旨辛さが癖になるおいしさです。

 

●アレンジレシピ:バターコーン長崎ちゃんぽん

レシピはこちら:
https://www.myojousa.com/recipe/butter-corn-nagasaki-champon/

よりクリーミーに、もっと具材にボリュームを出したいときは、基本の長崎ちゃんぽんにバターとコーンを加えてみてください。クリーミーなバターと甘いコーンが味に深みを与え、リッチな味わいが広がります。

長崎ちゃんぽんのレシピはこちら:
https://www.myojousa.com/recipe/nagasaki-champon/
Myojo NAGASAKI CHAMPONの詳細はこちら
https://www.myojousa.com/product/nagasaki-champon/
Myojo NAGASAKI CHAMPONが購入できるお店の詳細はこちら
https://www.myojousa.com/where-to-buy/ 

■最後に

まだまだアメリカではなじみの薄い長崎ちゃんぽんですが、現在すでに人気を博しているとんこつラーメンの味に影響を与えたラーメンということを考えると、これからアメリカで注目を集める可能性は十分にあるのではないでしょうか。加えて、魚介と野菜がたっぷりの具だくさんな料理なので栄養たっぷりな点も注目ポイントです。お鍋一つで手軽に調理できる「長崎ちゃんぽん」、ぜひあなたのご家庭でもお試しください。
参考:

Wikipedia: ちゃんぽん
中華料理四海樓
RINGER HUT USA
長崎ちゃんぽん リンガーハット
長崎ちゃんぽん・皿うどんのみろくや: ちゃんぽん・皿うどんの歴史と由来
なべやき屋キンレイ: 長崎ちゃんぽん発祥の店「四海樓(しかいろう)」の歴史
なべやき屋キンレイ: 韓国の「チャンポン」は真っ赤で辛い!?気になる日本のちゃんぽんとの関係
JBpress: 中華料理でも和食でもない孤高の「ちゃんぽん」
メシ通: 実は「ちゃんぽん」についてほとんど知らない……ならば本場・長崎の“番長”に聞いてみよう
れきこん: 長崎ちゃんぽんの歴史
TravelNote[トラベルノート]: 「ちゃんぽん」の意味や語源とは?長崎ちゃんぽんの発祥と歴史も紹介!
おすすめまSU!: ラーメンとちゃんぽんの違い。明確にします!
全国製麺協同組合連合会: 中華めん
テレビから始まるエンタメ情報: 全国各地の『ご当地ちゃんぽん』16選のまとめ
久留米公式観光サイト ほとめきの街: 久留米物語